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非線形自己干渉キャンセラの理論解析


このページでは,非線形自己干渉キャンセラの自己干渉除去性能を理論解析します. どのような実装になっているか知りたい場合は,ブラウザでこのページのソースを表示してscriptタグの中身を眺めるか,Excelによる簡易版もあります.

信号モデル

送信信号$x$を平均$0$,分散$1$の複素ガウス分布$\mathcal{CN}(0, 1)$に従う信号とします. この信号を,電力増幅器に入力して,以下の受信信号$y$を得るとします. ただし,$f(x)$はキャンセラで除去可能な成分を表す伝達関数(たとえば電力増幅器の伝達関数)で,$g(x)$は除去不可能な成分の伝達関数で,$f(x)$と$g(x)$は無相関であるとします. $$ y = f(x) + g(x) $$ この受信自己干渉信号に対して,次の非線形自己干渉キャンセラを考えます. $$ c(x) = \sum_{p=1,3,\cdots}^{N_c} c_p x|x|^{p-1} $$ ここで,$c_p$は以下の残留自己干渉電力$I^\mathrm{R}$が最小になるように推定されるとします. $$ I^\mathrm{R} = \mathbb{E}\left[\left| f(x) - c(x) \right|^2\right] $$ このときの非線形自己干渉キャンセラの除去性能を解析します.

使い方

下のフォームに増幅器の伝達関数$f(x)$をJavascriptの関数として記述してください. 引数のxmathjsの複素数オブジェクトであり,vは任意に設定できるパラメータです. 入力信号xは平均$0$,分散$1$の複素ガウス分布$\mathcal{CN}(0, 1)$に従う信号です. また,ある単一のパラメータだけをvとして振ることができますので,例えばIBOとして振ったり,Rappモデルのスムースネスファクタとして振るなどしてください.
function (x, v) { }
function (x, v, Ptot) { }
このページにおけるSICR(Self-Interference Cancellation Ratio)特性は受信信号電力と残留電力であり,次のように定義されます. $$ \mathrm{SICR}\text{ (dB)} = 10 \log_{10} \frac{I}{I^\mathrm{R}} = 10 \log_{10} \frac{P_g + P_\mathrm{tot}}{P_g + P_{N_c+2} + P_{N_c+4} + P_{N_c+6} + \cdots} = 10 \log_{10} \frac{P_g + P_\mathrm{tot}}{P_\mathrm{tot} - P_1 - P_3 - \cdots - P_{N_c}} $$ ただし,$P_g$は除去不可能な成分の電力で,$P_1$, $P_3$, $P_5$, ...はそれぞれ除去可能な成分の線形成分と3次,5次の歪み成分の電力を表しています. また,$P_\mathrm{tot}$は除去可能な成分の全電力で,$N_c$は非線形キャンセラの最大次数です. $P_n$は伝達関数$f(x)$に対して次のように計算できます. $$ P_n = \left| \mathbb{E}\left[ \psi_n^{*}(x) f(x) \right] \right|^2 $$ $$ P_\mathrm{tot} = \mathbb{E}\left[ \left| f(x) \right|^2 \right] $$ $$ P_g = \mathbb{E}\left[ \left| g(x) \right|^2 \right] $$ ここで,$\psi_n(x)$は以下のように定義されます. $$ \psi_{2m+1}(x) = \frac{1}{\sqrt{m+1}} L_m^1(|x|^2) x $$ これらの詳細については以下の論文を参照してください.
  • K. Komatsu, Y. Miyaji and H. Uehara, "Theoretical Analysis of In-Band Full-Duplex Radios With Parallel Hammerstein Self-Interference Cancellers," in IEEE Transactions on Wireless Communications, vol. 20, no. 10, pp. 6772-6786, Oct. 2021, doi: 10.1109/TWC.2021.3076496.
  • K. Komatsu, Y. Miyaji, H. Uehara and T. Matsumura, "Theoretical Investigation and Optimization of Power Amplifier Nonlinearity for In-Band Full-Duplex Radios," in IEEE Transactions on Wireless Communications, vol. 22, no. 5, pp. 3384-3396, May 2023, doi: 10.1109/TWC.2022.3217765.
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