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本当にブーメランは弱体化されるのか?

2021-06-27
けーさん/こまたん

2021年7月19日に,次回アップデート「Parvosシスター」における近接と銃の調整が発表されました(リンクはフォーラムの告知)

その中でも,近接の下方修正は大きく分けて二つです.

  • 近接MODの下方修正:Condition Overload (CO)とBlood Rush (BR)及びBerserker
  • ブーメランの下方修正

フォーラムの告知を読めばCOBR軸の近接は(その下方修正が適切か不適切かどうかという議論は置いておいて),誰が見ても明らかに下方修正を受けます. ただし,今回の記事ではこちらは扱いません.

もう一つの近接の下方修正はブーメランが対象で,今回の記事ではこちらに焦点を当てて記述します. なぜこちらに焦点を当てるかというと,ブーメランの仕様をあまり知らないテンノがあのアップデート告知を読む, もしくは仕様をよく知っていても適当に読むと「ブーメランが下方修正された!ブーメラン時代の終わり!」と短絡的に思ってしまうからです.

そして,体感としてそのように短絡的な評価をしてしまうテンノが多いように感じました. その中には,確かに真実ではありますが「ブーメランは強すぎたから火力が半分になる」というDEの意図と反する情報を拡散する方も見られ, 誰もKannaさんが翻訳されたDEからの告知の意図を理解していないのだなと思って悲しくなったのでまとめてみようと思いました.

あと,私を含めてブーメランを愛しているテンノの皆さんに安心して次のアップデートを待ち望んでほしいからでもあります.

先に結論から書くと,ブーメランは下方修正されましたが,まだまだブーメランは使い続けられると思います. 少なくとも私は使い続けます. そのように考える理由をこの記事では説明します.

また,予防線を張っておくと,今回の記事は「近接武器のNerfや銃のBuffが適切か適切でないか」ということを議論したいわけではなく, もっと建設的に「アップデート後にブーメランはどうなるのか」ということを考えていきます.

また,アップデート告知に書かれていることがすべてだと思って,つまりDEに全幅の信頼を置いて記述します. よって,告知に書かれていないこと,たとえば「Recall Dischargeのダメージの下方修正の可能性もあるじゃん!」とか「告知の文章はそう書いてあるけど,実質的な意図や背景はそうではない」みたいなことは今回は考慮しません. もしも論・たられば論の無限の可能性を議論するには無限の時間が必要ですので,それに意味はありません.

現状のブーメランのまとめ

まず,現状のブーメランについてまとめておきます. ブーメランには,大まかには以下の3つのビルド軸があると思います.

  1. 投げずに戦うCOBR軸
  2. Volatile Rebound (VR) を入れて投げて戦うCOBR軸
  3. Volatile Quick Return (VQR) を入れてRecall Discharge(旧チャネリングボム)で爆発させて戦うヘビー軸

もちろんビルドの自由度は無限大なので,これ以外にも組み方はあると思いますが.

1.の「投げずに戦うCOBR軸」ですが,たぶん現状1番ユーザーが少ないビルド軸だと思います.

2.の「VRを入れて投げて戦うCOBR軸」はその次にユーザーが少ないビルド軸だと思います. コンボカウンターが時間経過で減少しないXorisをこの軸で組むと楽しそうですよね. 私はVRを持ってないので組んだことないですけど.

3.の「VQRを入れてRecall Dischargeで爆発させて戦うヘビー軸」は,この中で最もユーザー数が多いビルドです. いつも使ってる私の感想は,出るダメージも大きいし,使い勝手もよく,一番好きなビルドです.

「ブーメラン強すぎ」と言われているビルドは基本的に3.のVQRを使ったヘビー軸か,もしくは2.のVRを入れたビルドです. 悲しいですが1.の投げずに戦うビルドは話題にすら上がりません(個人的には1.でエイムグライドしつつ投げずに振り回す戦法は楽しそうですが).

ブーメランの弱体化のまとめ

では,アップデート告知に書かれたブーメランの弱体化に関する告知を復習しておきます.

  • ヘビー攻撃のワインドアップ時間(チャージ時間)が0.6秒から1.2秒へ増加
  • クイック投てきのダメージ(直撃・爆風)が大幅に減少

以上です.

以下よりそれぞれの修正内容を細かく確認していきます.

ワインドアップ時間の増加について

ブーメランにおけるワインドアップ時間(チャージ時間)とは,近接ボタンを押しっぱなしにしている状態で投げる動作に入るまでの時間です. 現在はMODなしで0.6秒ですが,それが1.2秒に倍増します.

このチャージ時間は次のMODで軽減できます.

  • Amalgam Organ Shatter: ワインドアップ速度60%増加
  • Killing Blow: ワインドアップ速度60%増加
  • Swift Momentum: ワインドアップ速度30%増加(さらにCoaction Driftで1.3倍)

英wikiのSwift Momentumのページによると,実効的なワインドアップ時間 $(\text{ModifiedWindUpTime})$ は,基礎ワインドアップ時間 $(\text{BaseWindUpTime})$ とMODによるワインドアップ速度増加量 $(\text{WindUpSpeedGain})$ から次の式のように計算できるようです.

\[(\text{ModifiedWindUpTime})\text{ [s]} = \frac{(\text{BaseWindUpTime})\text{ [s]}}{1 + (\text{WindUpSpeedGain})}\]

現在,ブーメランは基礎ワインドアップ時間 $(\text{BaseWindUpTime})$ が0.6秒ですから, Amalgam Organ ShatterとKilling Blowを入れるだけで,以下のように約0.27秒になります.

\[\frac{0.6\text{ [s]}}{1 + 0.6 + 0.6} = 0.2727\ldots\text{ [s]}\]

ちなみに,アーセナルでの表記は小数点以下1桁までしか表示されず,2桁以下は丸められるみたいです.

ではアップデート後にAmalgam Organ ShatterとKilling Blowのみを入れた場合はどうなるでしょうか. 計算式は以下の通りです.

\[\frac{1.2\text{ [s]}}{1 + 0.6 + 0.6} = 0.5454\ldots\text{ [s]}\]

このように,基礎ワインドアップ時間が0.6秒から1.2秒に倍増したのだから,最終的な時間も大体0.54秒と倍増になります. 実際にこの約0.54秒が約0.27秒と比較してどれだけ遅くなるのかを現バージョンで体感するためには, 次のような計算から10%分だけワインドアップ速度を増加するようにMODを追加すれば良いことがわかります.

\[\frac{1.2\text{ [s]}}{1 + 0.6 + 0.6} = \frac{0.6\text{ [s]}}{1 + 0.1} = 0.5454\ldots\text{ [s]}\]

たぶんブーメランのNerfに興味のあるような皆さんであればKilling Blowをたくさん持っていると思いますので,ぜひお試しください.

さらに,フレームのオーラ枠にSwift Momentumを入れた場合はどうなるでしょうか? 以下の式で計算できます.

\[\frac{1.2\text{ [s]}}{1 + 0.6 + 0.6 + 0.3} = 0.48\text{ [s]}\]

このように,Amalgam Organ ShatterとKilling BlowとSwift Momentumまで入れれば0.48秒まで低減できます. この速度感を体感するためには,基礎ワインドアップ時間が0.6秒の現状に対して25%分だけワインドアップ速度を増加するようにMODを追加してください.

試してみれば分かると思うのですが,Amalgam Organ ShatterとKilling Blowだけの構成でも,体感は現状と比較してほんの少しチャージ時間が長く感じる程度だと思います. つまり,アップデート後少し違和感があるかもしれませんが,たぶんそのうち慣れると思いますので気にしなくていいと思います.

それに,他の近接武器が攻撃速度(とワインドアップ時間)のみで単位時間あたりの攻撃頻度が変わるのに対して, ブーメランの投てき頻度はワインドアップ時間と攻撃速度,さらに飛翔時間が関係しますから, ワインドアップ時間増加によってDPSはあまり変わらないと思っていいでしょう.

ちなみに,Coaction Driftを入れて更に短くできますが,ほとんど誤差程度しか変わらない(0.48秒か約0.46秒かの差)ので, エクシラス枠にはPrimed Sure Footedの方がいいと思います(私は持っていませんが...).

また,分隊員全員がSwift MomentumとCoaction Driftを入れていれば約0.32秒まで短縮できます. もっと短縮する方法があれば教えて下さい.

あと,たしかブーメランが飛翔中に近接ボタンを押しておけば,次の投てきのチャージ時間が減少したはずなので, Power Throwが今より使われるかもしれませんね.

クイック投てきダメージの下方修正について

たぶんここが一番勘違いされている箇所です.

まず,ブーメランにはクイック投てきとチャージ投てきがあります. ブーメランでは投てきするために近接ボタン長押しでチャージ(ワインドアップ)しますが,このとき「キーン」という金属音が鳴ります. ワインドアップ時間が終わりチャージが完了するとレティクルに青色のマークが一瞬表示されて,投てきモーションに入ります. 青になってから投てきする攻撃をチャージ投てきといい,青に変わる前に近接ボタンを離して投てきする攻撃をクイック投てきと呼ぶようです.

つまり,クイック投てきとチャージ投てきはワインドアップ時間をフルに使ってチャージしたかどうかの違いであり,それぞれ異なる値のダメージが設定されています.

ちなみに,アーセナルの表記ではクイック投てきは単に「投てき」,チャージ投てきは「チャージ投てき」と記載されています. また,アーセナルの表記に範囲ダメージ(バウンス攻撃)を出すにはMOD枠にVRかVQRを入れる必要があります.

今回下方修正されたのはクイック投てきなので,ワインドアップ時間をフルに使ってチャージするチャージ投てきの火力は変わりません.

また,クイック投てきの直接ダメージと範囲ダメージは下方修正されましたが,クイック投てきであってもRecall Dischargeのダメージは変わらないようです. つまり,フルチャージせずにクイック投てきしたとしても,ちゃんとRecall Dischargeで爆発させておけば,そのダメージはアップデートが来ても変わっていないということです.

例として,私が好きな(たぶん皆さんも好きな)Glaive Primeを見てみましょう.

現状では,クイック投てきの直接ダメージは328で範囲ダメージは492,チャージ投てきの直接ダメージが360で範囲ダメージは592です. アップデート告知にも書いてある通り,「クイック投てきのダメージ値をチャージ投てきの約50%ほどまで減らします」とのことなので, アップデート後にはクイック投てきの直接ダメージは$360/2=180$で範囲ダメージが$592/2=296$になってそれぞれチャージ投てきの丁度50%になっていることが理解できると思います.

一方で,クイック投てきのRecall Discharge(ヘビー)ダメージは984で,チャージ投てきは1184です. このダメージに関してはアップデート告知には書いてないので,つまり変更なしということでしょう.

要するに,アップデート予告に書かれているダメージの大幅な減少は,VQRのヘビー軸で運用している限りはほとんど影響ありません.

というか,告知にはクイック投擲のダメージを下げる理由としてブーメランの火力が強すぎるからとは書いてなくて,「考慮された選択肢を促すため」と書いてありますからね. つまり,クイック投てきとチャージ投てきの選択のことで,他の武器との比較は書かれていません.

そして,むしろアップデート告知に「私たちはブーメラン系武器クラスをより強力で快適に使用できるよう、2020年に調整を施しました。変更を取り入れてから、ブーメラン系武器は人気を取り戻していて、意図していた目標を達成していると思います。」と書いてある通り,DEはブーメランの火力が高すぎたと後悔しておらず,この火力によってブーメランの復権という目標を達成したと評価しているようですね.

結論

アップデート告知のとおり,チャージ投てきやRecall Dischargeのダメージが減少しないのであれば, たぶん私を含めて多くの人は今まで通りブーメランを使うだけでしょう.

むしろ,COBR軸には火力低下とBerserkerの下方修正が入ることを考えれば,そもそもCOBRやBerserkerを入れないブーメランは恵まれており下方修正はほとんど影響が無いと思いますよ. もちろん,Recall Dischargeを使用せずCOBRを入れる軸は火力が下がりますが.

この記事を読む前に「なんでDEはブーメランを弱体化したんだ!」と不安・懐疑心を持っていたテンノのみなさんが, 実際にはブーメランはかなりDEに優遇されていることを理解して,安心していただければ幸いです.

そりゃあ,初代テンノが愛用していた武器を簡単に弱体化しないと思いますよ. さて,これで実際にアップデートが来てRecall Dischargeのダメージが下がっていたり,Glaive Primeの確定切断が無くなっていたら爆笑ですけどね.

可能性としてクイック投てきのRecall Dischargeダメージは984から592まで減少しそうな気もしますが.

(余談1)投げずに戦うビルドは流行るのか

現状,ブーメランを投げずに戦うCOBR軸ビルドは全く使われていません. ブーメランのワインドアップ時間が倍増することで,投げずに戦うビルドが日の目を見る時代が来るのでしょうか?

私個人としては,たぶん鋼ではVRQ入れたヘビー軸がまだ使われるんだろうなあと思っています. なぜかというと,ワインドアップ時間の増加はそこまで致命的なものでもなく,さらにアップデートでヘビー軸の火力は変わらないのにCOBRは弱体化しますし.

また,投げる場合は攻撃速度MODは入れなくてもいいのですが,投げずに戦う場合はそういうわけにもいかず,つまり今回のBerserkerの下方修正の影響も受けます.

というわけで,投げずに戦うビルドと投げて戦うビルドの間が埋まったかというと,私は逆にその間が広がったように思います.

まあ,実は投げなくても使い勝手よくないか?と見直される可能性はゼロではないと思いますが.

(余談2)なぜDEはブーメランの実質的火力を下げなかったのか

この節は完全な余談であり,告知文には記載されてない内容を私なりに推測したものです. つまり,もしも論・たられば論であり,あまり建設的ではないので注意してください.

この節のタイトルは「なぜDEはヘビー軸の火力を下げなかったのか」という節にしたほうが良かったかもしれません. 今回のアップデート告知を読む限りではヘビー軸の火力は全く下がっていません. つまり,DEはブーメランを含めてヘビー軸近接の火力には手をつけなかったのです.

では,COBR軸とヘビー軸の大きな違いは何でしょうか? 私は,やはり攻撃速度が今回のアップデートでは重要視されているのではないかと考えています.

アップデート告知にも「近接武器で高く誇れる『攻撃速度』は皆さんが近接を圧倒的に支持する理由ナンバーワンと言っても過言ではないでしょうか。」と記載されています. 攻撃速度は「近接を圧倒的に支持する理由ナンバーワン」ですよ.

さて,ヘビー攻撃はダメージが発生するまでにチャージ時間と,その後さらに武器を振る時間が必要です. COBR軸に比べれば明らかにダメージ発生までに時間がかかり,ワンテンポ遅れてしまいます.

もっとわかりやすく説明しましょう. COBR軸では攻撃速度を上げるだけで単位時間あたりの攻撃回数が増加しますが,ヘビー軸ではワインドアップ速度も増加しなければならず, ブーメランではそれに加えて飛翔速度の増加を入れなければ単位時間あたりの攻撃回数は増えません.

つまり,COBR軸の近接武器はBerserkerを1枚入れるだけでものすごい速度で武器を振るうことができますが, ヘビー軸やブーメランではそのようなことはできません.

たぶん,DEはユーザーが銃をあまり使わない理由をCOBR軸の圧倒的な快適性・使いやすさによるものだと思ったのでしょう. そのため,ヘビー軸には大きな影響を加えなかったと考えられます.

ブーメランのチャージ時間が2倍に増えたのも,銃に比べると圧倒的な高火力を広範囲に出されてしまうと誰も銃を使わなくなるため, ブーメランの投てきの使い勝手を少し悪くするために施した処置でしょう.

こうして考えると,近接MODのNerfとブーメランのNerfという二つの異なるように見えるNerfが, 一貫して近接武器の使い勝手(攻撃速度)のNerfになっているように感じます.

まあ,個人的な感想としては,近接の攻撃速度の下方修正はいいとしても, COBRの下方修正はいらなかったんじゃないかなあと思いますが.

(余談3)どうでもいいこと

アップデート後にどれだけ近接の火力が下がるかなんて,COとBRのランクを調整したりして試すことはそこまで難しくないはずです. 私が観測した限り,そのようにして事前に確認している人はあまりいない印象ですがなぜでしょう? 「結局アップデート来ないとわからなくないか?」と思って諦めるのではなく,実験・検証するのがWarframeの楽しみではなくて?

多くの人はそうではないと願いますが,アップデート告知を斜め読みして詳細な検証もせずに批判をしたり, 逆に短絡的に「DEよくやった!」とDEをヨイショと持ち上げたりするのはあまり関心がしません. それらは,苦労してWarframeを作って調整しているDEに対する冒涜です.

(まあ,私はCOがもったいないのでまだ検証してませんが)

そういうこともあり,余談以外の今回の記事の中身では,私の個人的な意見はすべて排除して,告知からの引用や可能であれば数値例を使いつつ書いたつもりです. 逆に余談にはたくさん個人的な意見を書きましたが.

以上です,本当に終わり.


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